小児の中耳炎


 
小児の中耳炎はなぜくりかえすの?

  10月に入り一時の猛暑から比べると最近涼しくなってきました。この時期は日中と夜間の寒暖の差が大きく小児にとって体調を崩しやすい時期です。特に中耳炎をくりかえし易いお子さんはこの時期の体調管理を怠ると寒くなったときに一気に症状が出てくることがあるので注意してください。そこでここでは小児の中耳の中でどんなことが起こり中耳炎をくりかえすのかなるべくわかりやすく説明いたします。  
 

 
<急性中耳炎>と<滲出性中耳炎>

  上の写真は小児の正常鼓膜です。対して右の写真は小児の滲出性中耳炎の写真です。どちらも同じ小児の鼓膜で時期もそれほど間は開いておりません。このように小児の鼓膜所見は日々変動します。また滲出性中耳炎は痛みなどがないことから症状の訴えもないため、診察の際は必ず日々の鼓膜checkは必要です。この<滲出性中耳炎>は中耳粘膜から滲出してきた液体が中耳の中にたまっている状態で、中耳の中は湿気が高く細菌がとても繁殖しやすい状況になっています。この状況を放置しておくと風邪などをひいた時に細菌が鼻内より中耳内に入り一気に繁殖し急性中耳炎に移行します。そうなると発熱、痛みの症状が初めて表に出てきます。  
 

 
中耳のしくみ

  耳の中の簡単な模式図を作ってみました(画像が小さくて申し訳ございません)。外耳道の奥には鼓膜(オレンジの部位)がありその奥には中耳という部屋があります。中耳は耳管という細い管で鼻咽頭とつながっています。  
 

 
耳管の役割り

  高い山に登ってあくびをした時、ポーンと耳が通る経験をしたことはないでしょうか。あれは耳管があくびをすることによって開き、外の気圧(=鼻咽頭の気圧)と中耳内の気圧差を補正することでおこる現象です。この様に耳管の役割りの一つとして急激な気圧の変動に対応し中耳や鼓膜を守る働きがあります。そしてもうひとつの働きとして左図のように中耳粘膜より出てきた浸出液を鼻咽頭へ排出する働きもあります。  
 

 
耳管機能不全とは

  風邪やアレルギーなどにより鼻粘膜が腫れると耳管粘膜も炎症で腫脹し、狭窄してしまいます。その様な状態になると本来、鼻咽頭に排出されるべき滲出液がうまく排出されず、中耳内に貯留した状態となります。これが滲出性中耳炎です。小児の場合もともと耳管機能がまだ未発達な状態なので、大人と比べ鼻炎により滲出性中耳炎に移行しやすい傾向があります。  
 

 
急性中耳炎へ移行

  鼻炎が長期になり、鼻内に汚い鼻汁などが溜まっていると鼻汁内の細菌が耳管を経由して逆行性に中耳へ感染します。中耳内に滲出液が貯留していると湿気が強く、それらの細菌の格好の繁殖の場になってしまい、急激に炎症が増悪することもあります。このように鼻汁、鼻炎と中耳炎は密接に関わっており、特に小児の日々の鼻処置は大事な予防法と考えられます。

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2008年10月2日 としや耳鼻咽喉科クリニック 加藤寿弥